2021年1日目 「あけました」

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

あけましたね、年。
2021年。めちゃめちゃ未来みたいな数字ですね。
僕たちは今そこにいるわけですが、なんだかまだ落ち着きません。

ブログはまたずっと間が空いてしまいましたが、書いて行こうと思います。

2020年
僕は動き回る一年にしようと決めていました。
2019年の後半に出たツアー「kyaoちゃんとの四国地方」「ワゴンメンバーたちとの中国地方」
このふたつを通じて、まだ見ぬ土地にも待っていてくれる人がいること、初めましての方にも自分の音楽、ライブが伝わることを改めて教えてもらったからです。
年間のツアースケジュールも1月の時点で秋まで決まっていたし、リリースも3作品控えていました。
とにかく気合いが入っていて、這いずり回ってでもやってやる、自分の音楽を届けに行く、一人でも必要だと思ってくれる人に出会いに行く、何より「あんたはいなくなっていい人じゃない、そんな人いない」って、目を見て言いたかった。

2月末、3月からのツアーに控えてレコーディングが終了した頃、感染症が流行っているというニュース。
嫌な予感がぞわぞわしてきて、すぐにツアー相手だった仲間たちに連絡。
まだ世間では今ほど大きな問題として取り上げられてなかったことを覚えている。
ただ、コロナウィルスと呼ばれていたそれによって、世の中が変わっしまうように感じた。
恐らくはゾンビ映画の見過ぎなのだ。

ツアーの判断を決めかねているうち、日に日にじわりと染みのように広がる様を見て、僕は全てのツアーのキャンセルを決めた。
これを読んでくれるほど僕に時間を割いてくださる方だから言えますが、年内のツアーは相手の判断に関わらずキャンセルを決めていました。
メジャーはともかく、当時のインディーズ音楽関係ではキャンセルはかなり早い判断だった。
賢い判断ができた、と言いたいのではなく、SNSを見てもそのように動いている人たちは少なかったし、何より音楽仲間にすら過敏じゃないか、と言われた。
意見は割れていない。僕も自分を過敏だと思ったから。
とにかくそのような空気をとても感じた時期。

ただ僕は自分の判断が過敏だとしても、「僕を好きで集まってくれる人たち」へのリスクを下げたかった。
それは空席を置いて人の居場所を肯定することが全ての人間にとって、他の考えが入り込む余地のないほど絶対的な気持ちだった。
物が落ちたら拾おうとする、トイレから出る前にお尻を拭く、歯を磨く時は奥歯も磨く、それくらい自然で抗えない習慣のような。

そうして僕は籠城することに決めた。

すぐにマンションを借りて、スタッフや友達とDIYスタジオを設計して、工事に取り掛かった。
もはや恥ずかしくもないほど僕の音楽人生で、裕福だった時期はない。貯金のある人はそれだけでかっこよく見えた。
材料費だけで20万円を超え、最低限揃えたい機材を含めると30万円以上。
お金をどう工面したかはあえて割愛するが、背に腹は変えられない。
僕は自分の未来に賭けてみることにした。

そうしてスタジオは完成。
スタッフも友達も日曜大工すら未経験の素人なのに、全員本当にがんばってくれた。
スタジオ建設の日々は青春そのもので、今でも毎日思い出す。
みんな本当にありがとう。

そうして完成したスタジオで何をするか考えた。
作曲、レコーディング、練習、それは当たり前として。
そうだ、ライブ配信をしよう。
以前、楽天ライブというサービスで車の中から配信を少しだけやっていたことがある。
僕はもともと根の明るい人間ではないし、機械にもとても疎い。
何より、元がシナリオを演奏するようなバンドをやっていたことも相まって、お客さんと話しながらライブするライブ配信にはかなり消極的で、むしろ否定的な気持ちがあった。
ただそんなちいさな問題は、一歩踏み出して始めた楽天ライブで簡単に覆る。
環境も悪く華のない僕を見てくれる人こそほとんどいなかったが、お客さんと会話しながらライブをするという刺激にやられてしまったのだ。感動した。

しかしその時はなんのかんのと理由をつけてフェードアウト気味になってしまった。
こんなに素晴らしいものなのにやりたいことがこの環境ではできない、と、ちっぽけな言い訳を吐いて。

環境を整えたからこそ、もう言い訳はできない。
自分を一人でも多くの人に知ってもらうための努力からは逃げられない。
こうしてSNSと連動しているツイキャスをやってみることにした。
ツイッターと繋がっているなら、少しは人が見てくれるかもしれない。そんな簡単な気持ちから。

ここからは配信ライブで出会った方々の知るところ。
毎晩僕は感動し、感謝し、いつか直接出会える日を夢見ながら、配信環境をひたすら良くしていくことに躍起になった。
もっと音が良くなれば、もっと画質が良くなれば、もっと届くかもしれない。
演者にも視聴者にも、そんなのどうでもいいという人もいるだろうし、そうかもしれない。
それでも籠城している僕にとっては、表現を通じて直接繋がれるたった一つの場所だった。
人間一人が必死になるには十分すぎるほどの。

今回は割愛するけれど、そこから色々なことが重なって、今、僕はこの文章を綺麗で堅牢なスタジオから書いている。
青春の城、DIYスタジオは取り壊して、今はこのスタジオの装飾や、音楽仲間の防音設備に生まれ変わった。
しかしそのDIYスタジオがなければこのスタジオはなかった、確実に。
レコーディングのお仕事をもらい、人生で初めてのタイアップをもらい、僕は今やっと納得のいく地面の踏み方をしている。
もう逃げられない、言い訳はできない。
「あの頃の自分とは違う」という言葉が、時折、刃のようにキラリと光る。

先日ふとスタッフに「上野友輝はTOT WORKSの奴隷なんだ、あいつからは逃げられない」と冗談で言った。
二人でゲラゲラと笑いながらも、僕は一人フラッシュバックしていた。
15歳の頃、休憩時間サッカーをしていたら急に「歌いたい、歌わないと」と思いやってことのない音楽を始めたこと。
のちに何度も救い上げられ、この命にはきっと意味があると思ったこと。
子供の頃から笑えないようなことばかりで、その度に「僕は神様のおもちゃなんだ、仕方がない」と諦めて言い聞かせてきたこと。
音楽をやめて何もかも順調になった人生、親友も恋人も居て、やっと手に入れた最高に幸せな毎日。でもそこに希望が何一つ見えずまた空席を置いて音楽をする道に戻る時、元恋人が言った「あなたを待ってる人がいる、いってらっしゃい」という言葉と凛とした目。

匂い立つ青臭さに恥ずかしくなってきたけれど、でも全部本当のこと。
どうせ勘違いさ、僕は何も成せない普通の人間。天才でもないし特別な運命も背負ってない。
でも人生なんて勘違いの塊なんだ。
どうせなら死ぬまで勘違いして、自分の信じたことのため、自分を信じてくれる人のため、勘違いしたまま貫き通すバカがいても面白い。そんでいよいよ死ぬ瞬間「あ、違ったかぁ」ってゲラゲラ笑える人生にしてしまおう。
この物語は悲劇じゃない、喜劇なんだ。

成功者でもない31歳の貧乏人でこんな環境を託してもらえるなんて、夢にも思わない。そう、夢にも思ったことがない。
それでももう、これは現実。僕にはもう退路がない。
言い訳するならあとは手足がなくなって喉がちぎれた時くらいだ。

とことんやってやろう。とことん付き合ってやろう。
信念貫いて徹底的に楽しんでやる。

信念あけましておめでとうございます。
本念もよろしくお願いします。

あなたにここにいてほしいひと
TOT WORKS/上野友輝

131日目 つくるための場所づくり

こんにちは、TOT WORKSです。

ーーーーースタジオづくりーーーーー

Twitterではつぶやいていますが、最近スタジオをつくっております。

ええ、ミュージシャンの夢、マイスタジオを!

木材と道具と設計図とにらめっこしながらコツコツ、それはもうコツコツとつくっております!

マネージャー佐々木、地元の友達フタミ、お久しぶりな相棒イシコ、そして僕、みんなほとんど未経験ながらDIYしとるのです!

佐々木が設計し、佐々木とフタミが動き回り、イシコがスケットで大活躍し、僕は板を支えたり口出しして邪魔したりしております。

換気とマスクと手洗いうがいは徹底しながらですが、このタイミングだからこそ、スタジオつくることにしてよかったなと思ってます。

人としての生活はともかく、ライブができない、エンターテイナーとしてアーティストとしての活動がしづらい今。これからの動きをするために基地をつくっているような気持ち。

スタジオ制作動画はYouTubeにアップする予定ですので、おたのしみに♪

これから自作したいひとの参考になる動画を目指してつくってみようと思います!挑戦!

このスタジオづくりから思ったのは、僕はやっぱりモノづくりが好きで、人と生きるのが好きということ。

音楽をつくるのも好きだけど、もともとは工作が大好きな子どもで、毎日なにかを作っていました。

不器用だから作業自体はあんまり役にたってないけど、みんなと新しいものを生んでいく作業はとても楽しいし、未来そのもののように感じるのです。

ランチで近所の中華屋さんに行っても、そこのおじちゃんおばちゃんと笑って話してる時間に救われたりしてる。

僕はまだ音楽ではご飯食べられないのでアルバイトをしていますが、その現場も減ってしまって、生活は大変です。そしてそれは今だけではないかもしれない。

それでも決めているのは、作ることをやめない、表すことをやめない、伝えようとすることをやめない、ということ。

音楽に限らず、毎日の暮らしの中で。

それが一番自分らしく納得できる明るい人生の生き方かな、って思っています。

さてさて、次の土日でほぼ完成の予定!

これからを生み出すスタジオ、完成とそこから生まれるものたちを、いっしょに楽しんでいきましょう!

生きてれば大丈夫!それぞれの人生をいっしょに進んでいこうぜ!

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あなたにここにいてほしいひと

TOT WORKS

130日目 夜間照明の下で

こんにちは、TOT WORKSです。

ーーーーースーパームーンーーーーー

月が軌道上で一番大きく見えることをスーパームーンと言いますね。

4/7、4/8はスーパームーン。確かに大きな月でした。どちらも双眼鏡越しに撮った写真。生で撮るより、この景色を見せたかったので、こっち。

4/7のスーパームーン

4/8のスーパームーン

僕は歌詞にも月をよく出しますが、それは母の影響です。

『今夜は月が綺麗だよ』

そんな夜のたび、どこにいても母からメッセージが来ました。かつての僕はだからどうしたんだろう、なんて思いながら一応見て、綺麗だったね、なんて返事していました。

ある日、親戚の家にお呼ばれして僕だけが遊びに行ってご飯をみんなで食べていると、おじさんは言いました。

『ここの景色が好きでこの部屋に決めたんだ。ここならいつでも2人でいい景色が見れる』

素敵なご夫婦だな、なんて思っていると奥さんが

『外にいる時もよく、景色とか食べ物の写真送ってくれるんだよね』

なんかうちの母に似てる。僕は理由を尋ねます。おじさんの答えで母を知ろうと思ったんです。

『僕はいい景色みたり、美味しいもの食べたりすると、自分の大事なひとと共有したくなるんだよねー』

考えたこともありませんでした。これはこれ、それはそれ。日々のことから自分を守ってなんとか生きていた僕は、人と共有したり、分け合う喜びを知りませんでした。

そのとき思ったんです。僕はちゃんと大切にされてきたのかもしれない、と。

それから年月を重ねて、僕は少しずつおじさんの真似をするようになりました。母から送られてくる月のメッセージの意味も変わりました。

月を、いい景色を、美味しいごはんをひとに見せたり話すようになりました。そして見て聴くようになっていきました。

人によってはどうでもよかったり、相手をするのがめんどくさかったりするかもしれないけれど、君を大切に想っていると、言葉を使わないで表現したかったんです。

だから夏目漱石がI love youを『月が綺麗ですね』と訳したと知ったときは嬉しかった。仲間だな、なんて偉そうに。

今僕は、綺麗な月の夜の度、母と双眼鏡で眺めています。あと何回こうして過ごせるのかな、なんてことも考えながら。僕もお返しに月が綺麗だよ報告を母へ、そしてそこから伸びた枝の先にいる人たちへ送りながら。

見せる、話すことで、見せてもらい、聴かせてもらえる、それは受け取り手によっては、すべてのことに言えるのかもしれませんね。

世界と交流する、なんていうと大げさだけど、そうかもな、なんて。

僕の人生は再生の物語です。呪いも傷跡も生傷も今の僕とあなたにたどり着く、そしていつかずっと先の未来へ繋がる、道筋なんだって、今は思えます。今はそう、思えるんです。

生き残ってみるのも、悪くないよね。

あー、早く新曲たちを聞いてほしーよー

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あなたにここにいてほしいひと

TOT WORKS

129日目 宝物越しの風景

こんにちは、TOT WORKSです。

ーーーーー宣言ーーーーー

緊急事態宣言がいよいよ出されましたね。正直に言って、何がどうなるのか、僕はよくわかっていません。

政府の発表していることや、それにまつわる色々なひとが考えていること、自分なりに読んでみましたが、それでも現実にはいつも想像していなかったことが起こりますから、やはりわかりません。

ただひとつ思うことは、人を大切にしよう、ということです。

当たり前のことだけど、大変なときほど余裕がなくて、当たり前を見失ってしまいます。僕もそうです。僕は、辛いときだからこそ人を大切にしたいです。あえてドライな言い方をすると、そうやって生きていくことで、人もまた僕を大切にしてくれるからです。

そうやって支え合っていきましょう。境遇や体験は違えど、その人なりに大変な思いをしているのは変わりません。自分なりでいいから、隣にいる人、気になる人、愛する人、愛したい人を、想って生きていきましょう。余裕のないときほど、それが心の支えになったりするものだと思うんです。

ここで僕も宣言を。

ライブがない、映画館にも美術館にも、クラブや飲み屋さんにも行きづらい今。

僕にできる、あなたがお家にいても楽しめることをしっかりとやっていきます。

それくらいしかできないかもしれませんが、まずはそこから、僕なりのやり方で、暇つぶしや感動するモノになれたらと思います。

もちろん、僕も楽しみながら♪

生きていれば大丈夫。すごく早いたくさんの情報と状況で不安かもしれませんが、死ななければ生きています。それぞれの苦悩と困窮を、いっしょに乗り越えましょう。

ーーーーー2メートルーーーーー

今日は地元の大先輩、シンガーソングライターの山田尚史さんと会ってました。

ここ最近の話をしたり、これからの話をしたり、それからくだらない話も。ちょっとしぼんで、たくさん笑いました。

いつもより、すこしだけ体の距離を置いて。

そうして過ごしているときに思ったんです。

いつもは肩がふれたり、お互いの顔に気づかないほどのツバが飛んだりする距離で大口開けて笑い合ってる僕たちですが、体の距離を置いても、その楽しい空気って変わらないんだなって。

むしろ、いつも見えない景色が見えました。

例えば、いつもはふみさんの顔面しか見えていなかったのに、今日は景色とふみさんを見ながらの会話。今自分が誰とどこにいるのかをいつもよりしっかりと受け止めながらここに居るような感覚。

これって、いつもの距離では感じないものだったんです。厚木の田舎の風景とふみさん、僕の行きつけの神社とふみさん、コンビニとふみさん、わざわざ文字にすると変な感じですが、なんだか大切なことのように思えました。

相手が大切なひとであれば、それはどこにいたって、なにしてたって、いい時間かもしれません。

それでも、この人とここに居る、ということが持つ意味や価値もあると思うんです。今日はそんなことに気づかされました。

それは紛れもなく、いっしょに過ごしたひとが、僕にとって大切なひとだったからです。

そしてその時間がわかりやすく具体的で有益な時間だったわけではなく、何気ない時間だったからです。

体の距離と心の距離、これはやっぱり同じ物差しでは測れないものですね。

手洗いうがい、マスクに除菌、そして外出を控える。どれも今は大切な行動ですが、心がギュってなるときは、互いを守り合う距離と形で、いっしょに過ごしたらいいと思います。

ふみさん、今日もたくさん笑わせてもらって、ありがとうございます♪またいっしょライブしたり今度はツアーも行って、たくさんの出会いと再会と感動を宝物にしながら、受け取ってくれる人たちへお届けしていきましょうね!

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あなたにここにいてほしいひと

TOT WORKS

128日目 じぶんでやるのだ

こんにちは、TOT WORKSです。

ーーーーープレゼントーーーーー

今日は仕事でお会いしていたご夫婦に、それではこれでというタイミングにお菓子を頂きました。

美味しいラスク。

こういったプレゼントって期待していないタイミングも相まって、すごく嬉しい。ファンの方から頂くプレゼントの嬉しさともまた違うけれど、どちらにも言えるのは心が温まるということ。

美味しく頂きました。ありがとうございます。差し入れを下さる方々も、いつも本当にありがとうございます。

僕も予期せぬタイミングでプレゼント、やってみます。

ーーーーーじぶんでやるのだーーーーー

先日のブログにも書いたとおり、わたくしDIYスタジオをつくります!

夜はその材料の採寸と最終計算のため、ホームセンターへ!

今までちゃんと見てこなかったけれど、木材の種類やいろんなシートの素材、調べると本当にたくさんあって驚き。自分の何気なく、そして気づかないほど当たり前に関わる建物にも知らない素材がたくさん使われていると思うと、こういったものを開発・販売している方々ってすごいですね。素人からしたら、なにがなんだかわけわからん。

想像の中で完成度を増していくスタジオちゃん。同時にリアルになる施行の大変さとお金の数字。いよいよだ。

職人の顔をするマネージャー佐々木氏。

彼も僕もさすがにスタジオは作ったことがないので、吟味に吟味を重ね、計算を繰り返しております。

D.I.Yとは、Do it yourself、自身でやる、という意味。プロにお任せするのは信頼を考えると最高だけど、自分でやるのも楽しいよね◎

最高のDIYスタジオ、目指すぜ!

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あなたにここにいてほしいひと

TOT WORKS

127日目 素敵なご婦人たち

こんにちは、TOT WORKSです。

ーーーーー清掃員さんーーーーー

今日は散歩中ふと、マンションの清掃員さんに目がいきました。

60歳くらいの女性だったかな。まだまだ元気という雰囲気だったけど、腰を少し曲げながら、一生懸命に床を掃除されていた。

僕は以前から清掃の仕事をいろいろとやってきたけれど、こういうマンションの日常清掃って毎日やっていることが多い。

だから大体綺麗だし、見張っている人もいないし、簡単にサボれてしまう。

この女性は毎日綺麗にしているであろう床を、端のマスから端のマスまで、しっかり綺麗にモップがけしていた。仕事の項目に入っているのかもしれないけれど、個人所有物のエアコン室外機も隅々まで拭いていた。

彼女はまじまじと見ていた僕に気づき、

「風が強いけどお天気ね」って笑いかけられたから

「そうですね。こんな日はお掃除も気持ちいいですよね」と僕も笑う

「お天気だと、綺麗なところももっと綺麗になるからいいのよね」だってさ。

衝撃的だった。当たり前のことかもしれないけど、そりゃそうだ。

でも僕はそんなこと、こんな自然に言えない。

感動して泣きそうになったけれど、そうなったら完全に不審者なので、ごあいさつをしてさようなら。

彼女は明日もまた、あの建物を綺麗にして、いってらっしゃい、おかえりなさい、と住人さんたちに笑顔であいさつするのかもしれない。それはきっととても美しい。どうぞお元気で。

ーーーーー木製の電信柱ーーーーー

夕方、近所にある木製の電信柱を眺めていた。

僕が子どもの頃からある、近所で唯一の木製の電信柱。

しっかり立っているけれど、そろそろボロボロになってきた。

いろんな理由で変えたらいいのにと思うけれど、

いろんな理由で変えないのだなと思う。

時代にゆらがない信念に似ている、なんてのはかっこつけすぎだから、時代にゆらがない信念が、この電柱に似ているのだ、と思うことにした。

ーーーーー花の名前ーーーーー

「ねぇ、あなたあの花の名前知ってる?」

家の近所で、知らないご婦人に話しかけられた。

「わからないですけど、かわいいですね」と返す。

「そうなの、すごくかわいいから名前が知りたくてね。スズランに似てるけど、スズランなのかしら」

そう言ってフフフと笑い歩いていった。

花には疎いので、グーグル先生でスズランを調べたけれど、僕にはスズランにしか見えなかった。すごくかわいい。

気になった道端の花の名前を知りたいなんて、思ったこともなかったけれど、これはとても大切なことのように思えた。

そのご婦人のたたずまいがすごく美しかったし、名前を尋ねられる花もまたかっこいい。ご婦人と花、どちらのようにもであれたらと思うけれど、それは欲張りだな。

スズランの花言葉は「純粋」英語だと「再び幸せが訪れる」だそう。

やっぱり僕はご婦人のようでも、スズランのようでもありたいと思った。

ーーーーーうちの花壇ーーーーー

母が大切に育てているチューリップがもうすぐ咲きそうだ。

咲いたらお祝いに肩でも揉んであげましょう。

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あなたにここにいてほしいひと

TOT WORKS

126日目 翁と魔女

こんにちは、TOT WORKSです。

今日は近所を散歩して、行きつけの神社に行って、桜を見て、散髪をしてきました。

ーーーーー散歩ーーーーー

今日は早起きしたので、朝は散歩をしてみることに。誕生日に友達からもらったお気に入りの靴が相棒。朝から外に出るといいことしてるみたいだ。

春は日差し心地よく、少し強い風も悪くない。花粉症の僕にとってこの季節は油断大敵ですが、鼻スプレーと目薬、そしてマスクがいればこわくないのだ。RPG。

今日はふと、10年前に亡くなった祖父のことを思いだした。

実家の近所住んでいた祖父母の家に入り浸っていた僕は、よく祖父と散歩に出て、ジュースを買ってもらったりしていた。もちろん、ついていくのはそれが目的。

そのときによく立ち寄っていたのが、今僕が行きつけにしている近所の神社。このあたりの氏神様らしい。

そこの境内にあるふたつの青いベンチ。ひとつにふたりで腰掛ける。

呑気にジュースを飲んでいる僕の横で、祖父はタバコに火をつける。

あとから聞いた話。家で吸うと祖母に文句を言われるから、それがめんどくさくて隠れて吸うために散歩していたのではないかと、これは母の談。じいちゃんらしいや。

僕はまだ小さくて、会話していないとなりに座るひとの顔を見て楽しめるほど、人生の味を知らなかった。祖父はあの場所から、いつもなにを見ていたのだろうか。例え同じ景色を見ても、それは人生の味わいをより深く知っている祖父とは違う景色。そうわかっていても、僕はいまだにそのベンチへ通う。

ーーーーー神社ーーーーー

本日は晴天なり。

神社の境内もまたガランとしていていつもと変わらず澄んでいる。

お参りをして、ベンチに座り、パイプに火をつける。

相変わらず、祖父と同じように煙を通して見たところで、僕にとっては僕の景色だった。

ただ、祖父はどこでもいいんじゃなくてここがよかったんだな、なんてことは一丁前にわかるようになってきた。気がする。

彼はときどき、祖父母の家に僕が居ても、知らないうちに散歩へ出かけていた。

そうしたくなるのも、わかるようになってきた。気がする。

戻って来るために、出て行くこともあるのだ。

ーーーーー桜ーーーーー

神社の後ろの出入り口には鳥居がない。

その代わりのように咲いている桜が、この街の桜で一番好きだ。

ついでに言うと、その桜の横の坂道も、その坂道から見える街並みも、好きだ。

僕の一番好きな景色。

今日の撮影じゃないし街並みも見えないけど、少しだけおすそわけ。

ーーーーー散髪ーーーーー

2ヶ月ぶりだろうか、髪を切るのは。

ツアーへ行く前に切ると決めていたから、伸びてしまった。

いつもお世話になっている美容室は、地域の人たちが老若男女問わず通うお店。

もともと美容室や床屋さんが大の苦手だった僕は、このお店と出会ってから、埼玉県にいたときも散髪にきていた。ここの人たちが好きで仕方ない。

僕よりも少しお姉さまな30代〜50代の方々を中心に働かれていて、皆さん立ち振る舞い柔らかで気さくで、さわやかに居心地がいい。ファンがたくさんいるのも納得。

僕はここのオーナーさんに切ってもらってるんだけれど、このオーナーさんとの会話がとにかく好きだ。

オシャレな魔女みたいな雰囲気で、いつもふわーっと動く。

たまにオーナーさんも手を膝に置いておしゃべりに集中してたり、なんだかそんなところがおかしくって、愛らしく癒される。そしてなにより、たくさん共感してもらいながら、たくさん人生の勉強をさせてもらってる。かっこいいぜ姉さん。

今日は別の方に頭を洗ってもらってるときにおもしろいことを聞いた。

美容師さんが白い服をきているのは、髪型のシルエットを見るのに便利だからとのこと。

考えたこともなかった。けれど一発で納得できる。

あとはカラーがついても漂白剤につけておけば落ちるからとか。

世界は広く深く、いくら見聞を広げても知らないことだらけ。そりゃそうだ。こんな近くにあることすら知らないのだから。オラワクワクすっぞ。

おしゃれな魔女先生のお話はまた今度。

捨てなかった本は、また開けば物語が続いていく。どうせなら読み終わるまで。

あなたにここにいてほしいひと

TOT WORKS

125日 4月のはじまりに

こんにちは、TOT WORKSです。

前回書いてからまた随分と日が空いてしまいました。ぐふぅ、反省。

今日はここ最近のことを書いていこうと思います。いいことも、そうじゃないことも。

ーーーーーライブ活動についてーーーーー

3月は山田尚史さんとのツアー、kyaoちゃんとのツアー、4月は鈴木大夢くんとのツアー、合計3本のツアーでのライブ、そしてそれとは別のライブも含めると18本のライブがなくなってしまいました。

これはすべて新型コロナウィルスの影響によるものです。

どのライブも新しい出会いと嬉しい再会が待っていたことを思うと悔しくて仕方ありません。とても残念です。しかし、ツアーを中止にしたことで少しでもこのコロナウィルスの感染による被害が、本当に少しでも、自分の判断で抑えられたなら、それはやはり間違っていなかったと、そう思う他ありません。

ライブハウスが報道に取り上げられたことによりミュージシャンや音楽関係の場所、人が攻撃対象にされている現実は、残念ながらよく耳にします。ひとりひとりの選択と判断の裏側には、攻撃をしている方と同じように、その人の暮らしと想いという奥行きがあることを感じて欲しいと、切に願うばかりです。

あらゆる職種や暮らしに影響が出ている今、より一層互いを想いあって生きていきましょう。この文章を書いている私と、読んでくださっているあなた。人が「ふたり」いれば社会のはじまりです。

暮らしの場面によって変わるこの「ふたり」から、まずは互いを想い、守り合い、また気持ち良く日々を送れる日が来るまで、耐えていきましょう。私もその一端を担えるよう、がんばりますね。

また元気に笑いあえることを願っています。

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ーーーーー新作のリリースについてーーーーー

3月にリリースする予定だった「世界を読んだ日」

4月にリリースする予定の「ひとりの日」

ライブ会場での販売をメインにしているTOT WORKSとしては、現状ライブがないので、リリースは先送りとなります。残念ではありますが、楽しんでいただけること間違い無しの作品に仕上がっていますので、安心してお待ち下さいね。

この二作品の紹介も後々します。お楽しみに。

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ーーーーー日々の暮らしーーーーー

TOT WORKSはこの春から、なんと、人生初ひとり暮らしをはじめちゃいます!

ワーワー!キャーキャー!フーフー!イェーイェー!

バンドメンバーとのルームシェアなど、実家から出ても誰かと住んでいることしかなかったので、今回が初めてのひとり暮らし。

え?しっかりしてそうだから大丈夫でしょって?

なにをおっしゃる兄さん姉さん

僕こそ「生かされている」を体現する男。

その名もTOT WORKSですよ。はじめまして。

そうなんです。僕はよく、しっかりしてそうとか、ちゃっかりしてそうとか思われがちなんですが、子どもが住む家の障子くらい隙だらけなのよ。

しかも今までは自他共に認めるしっかり者とばかり暮らしてきましたので、もう不安で不安で。

って繊細になれるなら、まだしっかりできるチャンスはあった。

なにを隠そう、僕は生粋の能天気な楽天家。漫画ならガハガハゲラゲラ笑うやつ。

つまり!根拠のない自信で満ち溢れ!その光で不安が見えない!

落とし穴へ踏み込み!地雷を踏み抜き!傷だらけになった自分に爆笑する!

そんな一面もあるなんて、魅力的じゃない? セクシー。

というわけで、おそらく大変なことになるひとり暮らしがはじまります。

その様子もブログやらなんやらで書いたり話したりしますので、

どうぞ皆さま、僕と一緒にワクワクドキドキしましょう。

なんでもない毎日はワンダーランドなのです。

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ーーーーースタジオ設立ーーーーー

ね?ワクワクするでしょう。

ひとり暮らしの部屋にスタジオをつくっちゃうんです!

最近Youtubeやブログなんかでも見かけるDIY防音スタジオ。僕も真似っこして、アレ、つくっちゃいます。

設計は済んでおり、もちろんお隣さんたちにご迷惑をおかけするつもりはないので、バッキバキの仕上がりの3畳ほどのものをこの4月のうちに組み上げます。

さすれば、さすれば、こんなことが自由自在の唯我独尊。

毎日凝ったライブ配信 / 毎日作品の製作 / 音楽製作のお仕事たくさん / 新しい楽器への挑戦 / レコーディングのお仕事たくさん / ゲストさんを呼んで撮影 / 静かに昼寝 / ホームシアター / 静かに夜寝 ・・・などなど。活動と睡眠の質が高まりますね。

そんなこんなで、このスタジオ建築作業風景や実況なんかも各種SNSや動画でお見せしたいと思っておりますので、お楽しみに。

ね?ワクワクするでしょう。

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あなたにここにいてほしいひと

TOT WORKS