こんばんは、TOT WORKSです。
今夜のブログには目を背けたくなるような現実と、それでも向き合いたい現実が書かれています。
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岩手県 陸前高田市。
2011年3月11日に起きた東日本大震災による津波で、多大な被害を受けた街。
僕はこの街でツアーのライブ初日があることに緊張していました。
人の命を肯定したい、そのためのすべて、その当たり前を伝えるために、日本を回る、と銘打って始めた『旅する空席』
その初日が、絶対に傷つき、絶対に悲しみに襲われた人たちの街。
当時の僕は21歳で、自分の現実として迎え入れることができずに、なにを感じ、なにを思い、なにをすればいいのかわからず、結局何もしなかった。
恥ずかしくて情けないと、ずっと思っていた。
それから7年が経ち、僕は旅の初ライブで向き合う機会を頂いた。
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旅を思い立ったとき、まず最初に連絡をしたのがUKさんだった。
10年前からの付き合いで、何度も共演している大阪のインストバンド『shule And chiristmas』のリーダー。
10月より西日本からツアーを始めようとしていた僕に衝撃的な一言をもらう。
『9月末に仲間のシンガーソングライターが陸前高田でイベントをやるから、いっしょに出演しない?』
気を抜いていた僕は胸が締め付けられた。
僕とは久しぶりなのに大切な仲間のイベントに呼んでくれたこと。
それが陸前高田市であること。
そしてツアー初日になること。
それでも僕は即答でお願いした。
待ち合わせ場所は、奇跡の一本松になった。
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そして今日。
待ち合わせに一番乗りした僕は、辺りの風景に衝撃を受ける。
綺麗に復興されているのがわかるほど、建物がなく、そして残った建物は傷ついていた。
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しばらくして、イベント企画者シンガーソングライターの『まっと』さんがやってきて挨拶。
少し会話をしただけで、まっとさんが底抜けに信頼できる人だとわかった。それぐらい好きになった。
ほどなくしてshuleのメンバーも合流。
再会の喜びも束の間に、まずはみんなで奇跡の一本松を見に行った。
あの大津波の中一本だけ残った松の木は、1年生きたのち塩水で枯れてしまったので、今は人工的に残されている。
そこにあるのが作り物でも、残したい人々の想いは本物だ。てっぺんに留まったタカがそう言っていた。
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そして気仙中学校跡地へ。
完全に廃墟と化していたが、落書きはひとつもなく、綺麗なほど当時のままだった。
壁は剥がれ、ドアはひしゃげ、窓は吹き飛び、机と物が散乱し、ありとあらゆるものが壊れていた。
地面にノートを見つける。
この持ち主は今も無事だろうか、どこかで誰か笑えてるだろうか、なんて思う隙もなく、僕はただ泣いていた。
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それからみんなとバーベキューに。
この現実を胸に刻みながらも、ちゃんと今この時間を楽しもうとしている。
本当に素晴らしいと思った。
生きていると思った。
買い出しをして、まっとさんの自宅にお邪魔し、準備を終えるとバーベキューが始まった。
お酒を飲んで、美味しいものを食べて、音楽を鳴らす。
ただただ楽しくて、だからこそ本当に尊くて、涙が出そうになりながら、それでも心から笑って遊んだ。
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僕とshuleは5年ぶりの再会。
僕とまっとさんは初めまして。
悲しみを忘れない記念碑で待ち合わせ。
時間が止まり崩れかけた建物を歩く。
楽しく音楽を鳴らす。
それが今日の出来事。
文字にしたらこれだけのことなのに、どうしてこれを書いている今も、僕の胸はずっと締め付けられているのだろう。
人と人は繋がるのをやめない。
僕たちは立ち上がることを諦めない。
ただ続いていく、つまらなくてくだらなくて、誰のためにもならないような一日一日が、そのすべての一瞬が、間違いなく何ものにも代え難い価値あるものだ。
どれだけ向き合ってもわからない痛み、どれだけ受け止めてもこぼれていく感情、そのすべてが僕に何度もそれを教えてくれる。
僕は明日のライブに緊張している。
音楽の表現者として、この想いをどれだけ表現できるのか、ここ一番自分との大勝負。
ただ、日々のすべてを精一杯生きる。
ただ、この旅の物語を精一杯伝える。
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あなたにここにいてほしいひと
TOT WORKS